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          メール・マガジン

     「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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   ★第119号       ’01−12−14★

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    <なる>だけ、<する>なし

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●<目的と手段の連鎖>は

 

時に直線的でないこともあるでしょうが、人間の行動はおおむねそれに

沿って生じます。 ガリ勉は有名大学に入るため、そこを出るのは有名

会社に採用されるため、、 目的は<次にすること>にあり、<今そう

なっている>のはそのための手段、、

 

と説明したのは昔。 進学や就職は、あまり良い例ではなくなりました。

有名大学を出ても有名会社に採用されるとは限らないし、採用されても

ある日突然その会社が、、 ですからねえ。

 

今は<次>のつもり、だが、本当に<目的>としていて良いのか、不安

な時代。 親も教師も自信が無く、モノワカリ良さそうな顔をするだけ

で、肝心なことをまるで仕込まない。  そのせいか、それとも、

 

あまりに選択肢が豊か(可能性とは別)なせいか、オトナの年して未だ

<なりたい何か>が決まらない、と言う人が増えました。 学生生活中、

何考えてたんだ?  国の将来、思いやられます。

 

 

かつて学業成績優良児を「末は博士か大臣か」とはやしたように、我が

文化、何者かに<なる>ことを強いて止みません。 <なる>の一念が

自発的ならともかく、強いられて、では歪みもします。 本来の目的は

 

何か<する>こと、そう出来る者に<なる>のはその一手段。 なのに

<なる>ことが目的に変わり、その先の<する>が無くなってしまう。

 

加えて上記の通り、その<なる>べきものすら見付けられない輩が近頃

急増。 何が目的? どんな手段? と切り分けて訊いても、答えなし。

どうやら漂うだけの人生。 どこ見てるのか、どっちへ進むのか、歩く

姿も頼りない。 多分、そういうタイプの人からの相談ですが、

 

*   *

 

中国語をまず日本で、次に台湾へ渡って、いわゆる語学学校で学んだが、

結局使い物にならず、挫折して帰国。 暫く落ち込んだ後、何故かまた

習いに通い始め、中国人学生とは話し合えるくらいにはなった、、

 

で、どうしたら良いか? というのだが、、 私に訊かれても困ります。

何に<なる>、何を<する>、はその人の選択。  会ったことも無い

人にアドバイスなど、すべくもありません。  敢えて言えば、

 

もし中国語を駆使する仕事を目指すなら、その仕事相応の語力が必要で、

それは<学校>で得られるものではなかろう。 本人も

 

学校のではダメだと分かって<挫折>したのだろうし、すでに30過ぎ。

素質ある人なら、とっくにその方面へ進んでいたに違いない。 むしろ

止めるなら今、という選択もあり得る、、 だろうに、

 

また台湾に行きたい、こんどは前と違うはず、、 なんて懲りずに言う

から気が知れない。 一応、<なる>と<する>の認識を確かめたくて

質問したら、気に障ったらしく、交信はチョンになりましたが、、

 

あれはヤメないだろうなあ。 多分月謝を払い続けるだけ、収入を得る

には至るまい。 そう育てたのは親御さん、せめて愛情とスネが長持ち

するよう、お祈りするのみです。  このような、未だ

 

*   *   *

 

<なる>ことにすら成功していない人に比べると、それに成功した人は

相当の努力を重ねたこと、運や資質に恵まれたこと、など、それなりに

評価されて良いでしょう。  しかし、そこで満足してしまうのか、

 

先へ進まない人が少なくない。 即ち<なる>だけ、<する>無しの人。

そういうのは尊敬できません。 思い出すのはサーモスタット屋の頃、

 

<金属プレス工業会>(の会員でもあったので)主催の米国視察ツアー

に参加した時のこと。 一行は<社長>の集団、盛大な見送りを受けて

羽田を発ち、サンフランシスコ着。  一夜明けて、さあ、今日から、、

 

と勇み立つか? いや、みんな朝食のテーブルにへばりついて立たない。

動き始めた、と思ったらロビーにヘタリ込む。  会話に耳を立てると

「ついにアメリカへ来ましたなあ、、」。  うなずき合っているだけ。

 

おいおい、来たのは何か<する>ためでしょ、社長さん?!  すると

「とにかく来た。 もう、満足した」。  え? あと帰るだけ? 

 

まあ何とかシカゴ、ニューヨーク、見学日程はこなしたけれども、緩慢、

かつ形式的。 現地調達の留学くずれ通訳は、現場用語カラキシで珍訳

連発。 見かねて助けたのが間違い、以後一同、私の後をゾロゾロ。

 

宿へ引き上げた後は<自由行動>、即ちホッタラカシ。 その方が有り

難い、と飛び出して、工具屋、本屋、レコード屋etc.漁りまくりました。

やがて気付いた若手メンバー数名が、我が自由ツアー?のメンバーに、、

 

そしてある朝団長に呼ばれ、いわく「団体行動を乱すのはケシカラン」。

出過ぎたマネを慎み、宿でヘタリ込んでおれ、の意か? 素直にハイと

答えなかったので、以後ニラまれ、散々意地悪されました。 が、

 

自由ツアー、収穫はありました。 たとえば半導体リード・フレームの

見本が手に入り、同行した若手が帰国後それに取り組んで成功し、感謝

されたことなど。 それまではエッチング、だから、プレス化は画期的。

 

視察団員に<なる>のは、そういうことを<する>目的で、だったはず。

一歩踏み出せば、みんな少しは得ることが出来ただろうに、そこにいる

のは何のため? が不明なオジサンたちでした。  が、思うに彼ら、

 

*   *   *   *

 

「食うため」が働くことの目的として通用した時代にオトナになった人

たちでもありました。 その彼らがガムシャラに働き、その素朴な目的

が達成されての<飽食時代>。 その先の<する>が無くて当然、かも。

 

即ち哲学欠如のため、次世代を正しくは育てず、運も使い果たして次へ

残さなかった。 その不手際に気付いてもいないようだし、従って反省

も改善も生じない。  どうしますか、次世代さんたち?

 

困ったことに、政財界のリーダーたちは依然ガムシャラ世代、<する>

無し文化は従って健在。  この国の進歩を妨げる要素、ですな。

 

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●博士や大臣

に<なる>ことに成功した人たちは、そのあと何を<する>のでしょう。

 

博士になっても論文は出さない、発明しない、後進を育成しない、のが

少なくない。 知識の獲得や蓄積が容易な今は、それを活用して実績を

築かなかったら、、 <葬式仏教の僧侶>並み。 同様、

 

大臣も、<なる>までが大変なせいか、普通は<なる>だけ(に見える)。

歴代外相は非国民的外務官僚をノサバラセたまま、何<する>こと無く

過ごして省内の平和維持にのみ貢献した。 あれならバカでも出来ます。 

 

<する>気の田中外相は官僚にイビられ、議会に邪魔され、マスコミに

叩かれ、さながら<見せしめ>の目に遭っている。  改革<する>と

いう公約で高い支持率を獲得し、<する>気で奮闘している現総理には

身内の実力者が公然<抵抗>する、、 などなど。  つまり、

 

何か<する>とトガメを受ける、という文化。 <する>のを先送りに

していれば、その間は安泰。 だから役所や大企業で、在任中何か一つ

仕事を残せば「大したものだ」と言われるそうですが、本当でしょうな。

 

どうやらこの国では、努力はすべて<なる>ためで、<する>ためでは

ない。 何か<する>のが目的の企業で、社長に<なる>ことには成功

しても、新機軸を打ち出さない、新領域を開かない、、などザラ。

しかし上に立つ者がそんなことじゃダメ、何もかも疑い直そう、という

機運が生じている。 なら、まず、<なる>だけ<する>なしの文化を

変えて、グローバルに通用させられるようにしなくちゃ。  たとえば、

 

何かに<なる>のは MUST、WANT つまり目的を達成<する>ために採る

手段、とアチラでは思う。 しかし<日本人>は、それほど明確な考え

で行動するわけでない。 実は私も、でした。

 

 

1965年の秋、オハイオでの用件を終えてプロビデンスのE社を訪ねよう

と電話したら、社長N氏は目下ロンドン出張中という。 どうせ地球は

丸い、East Bound で帰ろう、と切り替えて滞在先に表敬訪問、、

 

したのが<日本人>的。 事業提携の有力候補だったので、もっとよく

気心を知ろう、それには顔を合わせる回数が、と思っての寄り道なので、

その費用、時間、私としては無駄ではないつもりでした。 が、N氏は、

 

わざわざ訪問者に<なる>からには、何か<する>ことがあるのだろう、

と思ったらしく、話が咬み合わない。 無駄しないことでは定評のある

ユダヤ人N氏、会う回数を増やすという手段が、よく気心を知るという

WANT に最適とは思わなかったのかも。  あるいはそんな WANT 、

 

彼には無かったのかも知れない。 だとしたら私の訪問、<狙い無しの

行為>に見えたことだろう。 そう言えば、不思議そうな顔してました。

 

そんな<マイナス>すら思い付かなかったのは楽観的すぎ、会うことは

良いことだという前提も一種の性善説、、 でしたな、思い返せば。

 

というわけで、田中外相の<後れ馳せ>パキスタン訪問、どんな MUST、

WANT で、か?  それらはどう満たされたのか?  知りたいねえ、、

 

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<する>必要や希望を MUST、WANT で描き出し、それらをよく満たす案

として何に<なる>かを決める。  それに<なる>ことに成功したら、

そのポジションを生かし、当初の MUST、WANT を実現<する>、、即ち

 

  Rational Process は、<なる>と<する>を結び付けるツール!

                          ■竹島元一■

    ■今週の<私の写真集から>は、★おや、C71!★

 

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